2022年4月、3泊4日の八ヶ岳土地探しの旅から東京に戻ったその夜に早速土地購入意思を売り主に伝え、ただ最終オファーは4月末の地盤調査結果まで待ってほしい旨お願いしました。

すると売主はGW中に大勢の人が土地を見に来ると思われるのでGW明けまで「申し込み」ステータスにして土地を押さえておいてくれるとのこと。

ありがたく売り主の厚意に甘えさせてもらうことにして、その間なるべく傾斜地による追加コストも加味した大枠の建築コストも把握した上で土地購入に進みたいねということになり、二人で手分けしてリサーチを開始したのでした。

Tは資金計画と別荘の貸し出しに係る法令関係の確認、そしてKは設計事務所・工務店の調査およびヒアリングが主な担当です。これまでホンカログハウス一本で考えてきましたが、土地を決めたいま、全ての選択肢を洗い出して吟味したいところです。

ところが、リサーチを開始して早々に僕らの土地購入意欲に冷や水を浴びせるいくつかの事実が見えてきたので一つずつ説明していきます。
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貸し別荘

八ケ岳南麓において品質の良いコテージには十分な宿泊需要があることはリサーチして分かっていたので、僕らも別荘を使っていない時は人に日貸しすることで少しでもコストを回収したいと考えています。

日本の別荘族の年間平均利用日数はわずか25日とか30日とか言われる中、僕たちはそれよりは頻繁に別荘を使うつもりではいますが、それでも年の1/3でも貸し出せたら何も価値を生まない遊休状態よりも断然合理的です。

なので土地探しの際、貸別荘やペンションなどが規約で禁止されている管理別荘地はプライオリティを下げて見て回っていました。ちなみに購入を決めた土地は管理別荘地ではなく、また地域区分の指定もないため基本的にはどんなビジネスでもできるはずです。

貸別荘ビジネスを行うには当然行政の許可が必要になります。選択肢は二つあって、旅館業免許を取得するか、もしくは民泊施設として認可登録されなくてはいけません。認可されるにはクリアしなくてはいけない条件がいくつかあるのですが、後者の最たる特徴は年間で貸し出せる日数が180日までに制限されることですね。

一方旅館業免許の方は提出書類が多く免許取得までの道のりは民泊よりも大変なのですが、ひとたび許可されると営業日数の制限がないため需要があるだけ刈り取ることができます。なので僕らも当然旅館業免許から調べることになったのですが…

土地の所在する山梨県の場合、旅館業として認可されるには営業拠点から半径200m以内の近隣住民からの同意が必要とのことで、これは大きな想定外です・・・、というかリサーチ不足でした。

検討している土地の半径200m以内には3軒ほど永住されている家があります。あのとても静かな丘でいきなり『旅館業で認可受けたいので同意書にサインをください』と突然お願いしに行っても「ああそうですか、どうぞどうぞ」なんて同意書に署名してくれるとは到底考えられません。これは本当に痛いです。。

ちなみにお隣の長野県にはこの近隣住民の同意という要件はありません。自治体によって要件が違うようで、長野県との県境はほんの目と鼻の先なので、余計に残念な思いをしています。

もちろん長野県側の富士見町や原村といった地域の別荘地や土地をリサーチしてはみましたが、残念ながら心に響く土地に出会うことはできず。というわけで、僕たちは貸し出すとしても年間180日制限のある民泊から開始せざるを得ないようです。

ローン

僕らは土地も建物も各々50%ずつ共同所有するつもりです。しかし調べてみると共有する物件は住宅ローンの担保には入れられないないというのが分かりました。というかこれもリサーチ不足ですね。。。

共有相手が血の繋がった兄弟でもダメらしいのでかなり厳格な要件と言えます。これによって、僕らに取り得る選択肢は現金支払か無担保ローンしかないことになりました。これは基本中の基本前提だったかもしれませんが、完全にノーマークでした。

初めから法人化して拠点そのものを法人で所有して運営・・・というストーリーも一瞬考えては見ましたが、そもそも運営実績も無い生まれたてほやほやの会社に気前よく貸してくれる銀行なんてあるわけありません。

というわけで、土地・建物建築費の全額をキャッシュで支払うことになりそうです。あ〜もったいない。

建築資材の高騰

4月下旬、地盤調査前にホンカログハウスの概算見積が出てきました。『良好な地盤調査結果が出てきたと仮定して』出してくれたものですが、そこに書かれている金額を見て思わず大きな声を上げてしまいました。

建物本体価格が4月中旬に訪問した時に聞いていた金額から更に一段値上がっていたのです。訪問時に聞いていたのはウッドショックの影響で以前より3割程値上がったということでした。それはそれで「もう少し早ければ」という残念な気持ちもありましたが、まだ辛うじて予算の範囲内だったのでホンカで進める気満々でいたんです。

ところが、例の東欧の有事が勃発して2ヶ月、収束する兆しが見えず色んな物がジリジリと値上がりはじめているなかホンカ・フィンランド本社から値上げの予告があったらしいのです。

そしてまだ本決まりではないものの、今回の見積りには想定し得る値上げ幅を織り込んだということでした。もしこの値上げが事実なら、ウッドショック以前の本体価格から実に50%ほどの値上げになる計算です。

つい1,2年前より1.5倍多く払っても出来上がる建物は値上げ前と同じ建物、いやひょっとすると周辺建材や住宅設備機器の不足・コスト高で以前の仕様以下の可能性もありえます。

これには流石に参りました。一瞬にして夢が砕かれた瞬間でした。と同時に他の設計事務所や工務店の調査に本腰を入れるきっかけとなったのでした。

ちなみに、恐れていた傾斜地による基礎追加費用は200万円の見積りでした。平坦地だとこのコストが不要であることを考えれば当然痛いのですが、この金額と引き換えに半永久的に妨げのない抜けた眺望が得られることを考えると納得のいくコストであるかもしれません。今後他社と話す時もこの金額をベンチマークにしていくことにしました。

そして土地購入へ

見えてきたいくつかのハードルは当初想定していたプランに変更を余儀なくされます。では今回の土地購入は見送るのか?それとも土地は購入しておいて建築資材の高騰が収まるのを待つのか?はたまた建物規模を縮小する?

二人で散々話し合った結果、やはりまずは土地を購入してしまうことに決めました。若干見切り発車な部分もありますが、次に進めたいと思った時に同じように魅力的な条件が揃った土地が出てくる保証はありません。

まずは拠点となる場所を押さえ、そこからじっくりプランニングしていこうということで二人の意見は一致したのでした。

そして2022年GW明けに売り主に再度連絡を取り、土地の購入手続きに進んでもらいました。売り主が言うには、GW中やはり数組の土地見学者が来たらしく、土地を押さえておいて良かったね、とのこと。

移住ブームを背景に、売り主のセールストークであることもあながち否定はできませんが、ただ土地は二つとして同じものはありません。僕らの早い意思決定は間違っていなかったと思い前に進むことにしました。

  • 北杜市大泉町(非管理別荘地、ハザードマップ警戒区域外)
  • 標高1140m
  • 約345坪のほぼ正方形の土地
  • 北側道路に31m接道
  • 南東に緩傾斜(8°〜10°)
  • 市営上水道・個別浄化槽・プロパンガス・東京電力