2022年4月に敢行した土地探しの旅四日目の朝、いよいよ旅を終えて東京に戻る日です。この日は朝からきれいに晴れています。

宿泊したログハウスを早めにチェックアウトし、僕らが一番気に入っている草原別荘地の土地に戻ってきました。

別荘地に足を踏み入れた途端、やはり他の場所にはない独特な雰囲気が醸し出されていることに気づきます。この別荘地を開発・分譲している会社の代表曰く、別荘地全体の価値を高めるために区画を細かく切って詰め込んだりせず、なるべく大きい区画で販売しているとのこと。

初期の分譲区画はやや小さめのものもありますが、確かに大半は500坪以上の区画が多いように見受けます。このため全体的にゆったりした環境になっているのでしょう。

また、別荘地の価値を高めていくために、売りっぱなしではなく空地に桜の苗木を植えるなどのアップデートをする努力も怠らない姿勢は好印象です(ちなみにここは管理別荘地ではありませせん)

全体的に築浅の建物が多く、定住者も比較的多いためしばらくは別荘地が廃れてしまうリスクも低めなのもポイントが高いです。

保安林の向こうに透けて見える南アルプスの稜線

そんな別荘地で僕らが気になっている土地は別荘地内の坂を上っていった比較的上の方にあります。3日ぶりにじっくり見ると思っていたよりも傾斜があるように見え少し心配になってきました。

最初にここを見たあと比較的フラットな土地ばかり見ていたからでしょうか。これはある程度基礎費用を覚悟しなくてはいけさそうです。

ただ、よっぽどの軟弱地盤ではない限り標準的な柱状改良程度で済むと思われ、その費用と引き換えに得られるこの開放感はなんとも捨てがたいものがあります。


丘の上から物件を眺めるT。林の向こうに南アルプスの稜線。雲が切れると富士山も見える。

唯一残念なポイントは、葉の落ちる冬季以外この区画からは直接富士山を眺めることができない点です。かなり坂の下の方にある保安林がやたらと高く成長していて富士山方面の視界の妨げになっているためです。

土地からほんの少し坂をあがると富士山が見られるだけにとても惜しいのですが仕方ありません。また、南アルプスの稜線も冬場は保安林の枝々を通して薄っすらと見えるのですが、この調子だと春〜秋はほとんど見えなさそうです。

こればかりはどうしようもないですね。玄関を出て30mも歩くときれいな山々が見えるので、それで良しとするしかないようです。また、富士山が見えていたら値段も跳ね上がって予算を大幅に超えていただろうと考えると無難なトレードオフかもしれません。


保安林の向こうに透けて見える南アルプスの稜線

僕らは東京に戻る前にこの土地の景色や形状を脳裏に焼き付けるべく時間をかけて歩き回りました。そして建物を配置するならどのあたりが良さそうか、リビングからの眺めはどの向きが良さそうか、はたまた電線はどこから引っ張ってくるのだろうか等、この土地に建てるイメージを醸成していったのでした。

(この時点ではまだホンカのシリウスで建てるイメージを思い描いていたのですが、このプランがもろくも崩れ去るまでまだもう少し日にちがかかるのでした。)

物件敷地を下から見上げる

出した結論

土地をくまなく検証し終えた僕らは車に乗りこんで別荘地を後にしました。そしてTとKのどちらからともなく「この土地に決めよう」という話になりました。そう、三度目にこの土地を見ている段階で二人の気持ちは固まっていたのです。

まさか最初の下見ツアーで土地が決まるとは思っていなかったのですが、土地との出会いとはこういうものなのかもしれません。折しも移住ブームの真っ只中。直感を信じて進んでいくしかなさそうです。

その夜、東京に着いて早速売り主に購入意思を提示。売り主の厚意により、別途ホンカに調整してもらっている地盤調査の結果が出るまで土地を押さえてもらえることになりました。

僕らの八ケ岳プロジェクトが始動した瞬間でした。そしてKは翌日シンガポールへと帰っていきました。これからしばらくはリモートでプロジェクトを進めることになります。