2022年4月某日、Kがシンガポールから三年ぶりに一時帰国しました。実家のある奈良でしばらく過ごした後、シンガポールに戻る前に東京にいるTの自宅に立ち寄ります。その翌日から始まる三泊四日の八ヶ岳への土地探しの旅支度をするためです。

雨が降りしきる昼過ぎにKを東京駅でピックアップし、八ヶ岳の土地見学に必要になる長靴、ポンチョ、軍手を最近流行りの作業用品店で調達、さらに酒屋で今夜から数日分のお酒を調達して帰宅しました。

翌日は朝早いので16時頃から飲み始めます。お酒を飲みながら自分たちの夢の実現に向けたディスカッションのなんと楽しいこと。お酒は、思い出に浸る時と、夢を紡ぎながら呑むのが一番美味しいと思います。

さて、Kはこの旅行に備え八ヶ岳南麓・西麓を中心に見学したい土地を30件ほど見繕ってリストにまとめ、複数の現地不動産会社とのアポ調整も抜かりなく終えていました。

東麓については、高速道路からのアクセスが若干悪いのと、標高が高すぎる印象が強かったのでプライオリティは下げました。天気が一番良い印象があるのが西麓なのですが、東に八ヶ岳の山々がそびえ立つため朝日が登るのが遅いのでは?⇨すなわち冬場なかなか気温が上がらないのではないかと考え、南麓をメインに土地をピックアップしていました。

アポ取りの際、異口同音に不動産会社に言われたのが、コ ロナ禍が長期化するにつれ都会の会社員のリモートワークが認められるようになり、自然派の人々を中心に空前の移住ブームが起きているとのこと。

『もう良い土地はほとんど売れちゃったよ』
『残っているのは売り主が強気に高い値付けをしている土地くらいだ』

と言われる中、それでも「これは」と思う土地をリストアップしていました。今回の旅の目的は大きく3つ。一つは八ヶ岳地域の全体像を把握すること。二つ目はなるべく多くの土地を見ることで欲しい土地のイメージを醸成、そして最後は将来の建物候補であるフィンランド・ホンカ製のログハウスの宿に泊まり品質をチェックすることでした。


ホンカログハウス

この時点では僕たちはホンカのログハウスで小屋を建てたいと考えていました。ホンカのログハウスシリーズの中でもとりわけ高い吹き抜けのあるシリウスでイメージしていました。

どうせ建てるなら非日常感の溢れる空間、それには都会では難しい広い開口部と高い吹き抜けが一番だと考えていたからです。

ホンカについては、Kが数年前にも別荘を検討していた時期があり、その時立ち寄った山中湖で見た中古のスカンジナビアンレッドのVALO 65がとても素晴らしく(そして今考えると築年数の割に激安だった!)それ以来小屋を建てるなら必ずホンカで!と決めていて、Tにもその良さを説いて二人はホンカで建てる気満々でいたのでした。

程なく衝撃の事実が明らかになるとは露知らず、僕たちはこのシリウスをどのようにカスタム設計するか妄想を繰り返していました。


ホンカ シリウス ー ホンカジャパンのHPより