別荘地内の分譲済みコテージ

3日目は八ヶ岳南麓の広大な土地・リゾート開発をおこなっている企業の不動産部門を訪問、土地を複数見学させてもらいました。

3日目ともなると僕ら自身も土地を見るときのコツのようなものを会得しつつあったので、随分と効率良く土地を見て回ることができるようになっていました。

紹介してもらった土地は全体的に管理別荘地内に細かく区画を詰め込んだ印象で、とにかく隣地の建物との距離が近すぎます。これなら普通の住宅地と変わらない感じです。ただそれなのに管理別荘地ということで坪単価が高めですね。

また、この会社は富士山や南アルプスがよく見える土地を造成して小規模別荘地としても分譲しています。すでに販売が終了したそのシリーズ別荘地の横を通った時に見た南アルプスの絶景が素晴らしくとても気になっていたのですが、担当者によるとそれはそれはお値段も素晴らしい(高い)らしく、それでも瞬間蒸発するらしいのでいいビジネスです。

今回同じアルプスを拝めるコンセプトで別の場所で売り出されている区画も案内してもらったのですが、前述の場所と比して景色はそれほど良くはなく残念ながら触手は動きませんでした。

他の土地もいくつか見て回りましたが、どれもピンとくるものがなかった...。土地が狭いのと、セールスポイントとなるような特徴が見当たらないのです。やはり移住ブームで良い土地は売れてしまったのでしょうか。

南接道の傾斜地 ー このような土地は建物の配置において眺望と道路からのアプローチのバランスが難しい

ちなみにこの会社は自社別荘地内で建売別荘事業も行っています。目玉商品と位置付けされている企画シリーズの一角はさすがに綺麗に整備され、目の前に南アルプスがよく見えるように配棟されていて、また視界を妨げる木々も適切に切られていて好印象でした。

特筆すべきは、この会社は自分が使わない時は短期滞在者に貸す仕組みを別荘地自体で提供している点です。

通常管理別荘地では民泊などの個人による賃貸しが許されていないところが多いのですが、ここでは管理別荘地でありながら休眠時間に投資を回収していくという合理的なプログラムが用意されています。

今夜の宿はそのプログラムで建てられたオーナーのログハウスに宿泊する予定なので後で検証してみたいと思います。

草原別荘地の土地の再訪問

午後一番に、初日に見て一番気に入っている土地にホンカの方に来てもらい、土地を一緒に見てもらいました。

午後から突然降り出した寒く激しい雨で敷地内に入ることもできず道路から眺めただけの見学になってしいましたが、先方いわく眺望も良く傾斜は若干気になるけれども急すぎることはなく良い土地だ、とりあえず地盤調査をしませんか?ということになったので早速手配をお願いすることにしました。

買う決断をする上で地盤調査も大事な要素です。あとで超軟弱地盤だと分かると地盤改良費が大幅に嵩む可能性があるためです。それを考えると数万円の調査費の出費は安いものです。

初日にその土地を見てからかれこれ30件ほど他の物件を見て戻ってきたことになります。大雨という悪条件での再訪でしたが、やはりここは良い土地だと確信が持てました。

次の日には東京に戻る予定ですが、それまでにもう一度天気の良い時にこの場所を見てから帰りたいと強く願って別荘地を後にしました。

3泊目の宿

さて、雨が振り続けているので早々と買い出しを済ませ、前述の別荘地内にあるログハウスにチェックインすることに。ここは別荘地のフロント棟で対面でチェックインする方式です。

この別荘地はとても大きく、フロントから目的のログハウスまで距離があるため敷地内の地図と、あと別荘地内の大浴場がメンテ中のため近くの温泉「甲斐大泉温泉 パノラマ湯」の無料入湯券をいただきました。ぜひ行ってみたいと思っていた温泉施設なのでこれはラッキーでした!
地図を見ながら別荘地内を車で走らせると目的のログハウスが見えてきました。建物は結構な傾斜地に建っていて急坂を登って傾斜のついた駐車スペースに車を駐車するのですが、そこからさらに玄関まで傾斜が続くので荷物の出し入れには少し骨が折れました。

またこの傾斜のため坂下側の基礎が男性の背丈ほどまで立ち上がっています。これは結構基礎費用が嵩んだんじゃなかろうかと勝手に心配をしていました。僕らが気に入っている土地も傾斜地なので決して他人事ではありません。

傾斜地に建つログハウス ー バルコニーから南アルプスの稜線が望めた

さて、室内に入ってみると先に泊まった二棟のホンカ製ログハウスとは明らかな違いを感じます。内装は同じようにログが積まれた無垢の木肌のままなのですが、なんというか、重厚感が足りないような...

部屋を仕切る壁は無垢パネルを貼っているのかなと思うくらいにコンコンと叩くと軽い音がします。あと、細かいところですが化粧枠などの建材がどうしても軽い印象で、またやたらとログ材を覆うように多用されているのです。

さらにその化粧枠を打ち付けている釘穴が非常に目立つんですよね。ホンカではこんな釘穴は見えなかったんですが。いわゆる隠し釘だと思われますが、なぜか釘が5mmほど奥に入ったところに見えるので一見穴が空いているように見えるのです。

こういうところは手作り感があって良いという考え方もあるかもしれないので一概にどちらが良いとは言えないかもしれませんが、少なくとも僕たちの考えるコンセプトやテイストではないなとの印象をもちました。

またバルコニーに出て改めて組まれているログ材を見て重厚感の違いがどこから来ているのか気づいてしまいました。ここのログ材の厚みがホンカログの2/3程度しかないように見えるんです。

ログを積むだけで壁としてしまうログハウスではログ材の厚みがすなわち建物の壁の厚みになります。また通常ログ部分には断熱材は貼りませんので、ログ材が薄いとそれだけ断熱性能にもろに影響するはずです。

室内には最小限の家具と備品が置かれている

あと、なんとなく部屋の居心地が違います。先の二つのコテージで感じたアットホーム的なものではなく、感じるのは何か宿泊施設的な居心地といえばわかるでしょうか。

これは置かれている家具や調度類の違いからも来ているのでしょう。おそらくここは初めから貸す前提で家具類がセレクトされていると思われます。その証拠にこの部屋のダイニングテーブル・チェアと全く同じセットがこのリゾート会社のホームページの他の部屋の紹介写真でも見られます。

つまり建物が建つと、管理会社がそこにあらかじめ決められた家電や家具類を入れてしまい、オーナー独自のコーディネーションがされていないのだと思われます。

オーナー側も、貸し出しているうちに家具が汚され傷んでいく事がわかっているのではじめからオーナー自身が気に入る家具は置かないのかもしれませんね。こういったちょっとしたインテリアのセレクションも先に泊まった二棟のコテージとの決定的な違いを生んでしまっていました。

たしかに管理会社に任せておけば自分が滞在していない間に賃料が稼げるので合理的ではありますが、そうは言ってもオーナー自身も年間何日かは泊まりに来るはずであり、その時に自分の好きなインテリアに囲まれて過ごしたいとは思わないものなのでしょうか。

それとも例えば若い人が最初の10年は貸し別荘への投資と割り切り、自分が本格的に使いだす時にすべて入れ替えるというような考えのオーナーが多いのかもしれません。

いずれにしても、今回の旅で運営形態の違うログハウス三ヶ所に泊まって色々と比較ができ、とても勉強になりました。

バルコニー

最終日の総括

さて、夜になると僕たちはワインを飲みながら3日間で見て回った物件を振り返り、今後の方向性についてディスカッションをしました。どうしても二人とも草原別荘地の土地を前提としたディスカッションにはなってしまうのだですが、どれだけフェアに他の土地を比較しても、結局は眺望やその場に立った時の雰囲気、そして坪単価等、すべてにおいてあの土地が突出しているという点で二人の意見は符号しました。

正論としては、土地はできるだけ四季折々の表情を観てから購入すべき、というのは今回複数の不動産屋さんから聞いて分かってはいるのですが、一年も待っていると良い土地はそれまでに売れてしまうでしょう。

草原別荘地の売り主の方も「気に入った方は即決するし、買わない方は何回みても結局買わない」と言っていました。あそこの土地が半年後や一年後に残っているとは到底思えない僕らは、翌日再度草原別荘地の土地を見て最終結論を出すことにしました。

初日に見て気になっている土地についてはこちらを参照されたし。