請負契約後の4月上旬から6月中旬にかけて造成、地盤改良、そして基礎工事が行われました。造成工事については第35回で触れています。
今回は地盤改良工事と凍結深度について書きます。

5月上旬の地盤改良工事には立ち合いはできませんでしたが、工務店から工事の写真が送られてきました。HySPEED工法と呼ばれるドリルで400mm径の穴を支持層まで数メートル掘ってその穴に砕石を流し込んで突き固めることによって柱状改良を施す工事です。

僕らの土地には2種類の長さの砕石パイルが計38本埋め込まれました。これにより盛土によって軟弱になった地盤を締め直し、しっかりと建物の荷重を支えます。

柱状地盤改良工事の様子:ドリルで穴を掘りそこに砕石を入れ突き固めます

地盤改良工事が終わると次はいよいよ基礎工事です。ちなみに僕らの別荘はべた基礎を採用しています。ここでおや?と思われる方は鋭い。理由は以下の通りです。

寒冷地や標高の高い土地では凍結深度を気にしなくてはいけません。これは冬に地盤が凍ってしまう最深の深さを指します。そしてこれより浅い位置から基礎を立ち上げてしまうと、冬場に基礎の下で霜柱が発生し、地盤が基礎ごと建物を持ち上げてしまうことがあるそうです。そして解けては戻り、また凍っては持ち上がるを繰り返しているうちに地盤の不等沈下を引き起こしてしまうおそれがあると言われています。

八ヶ岳南麓は東麓や西麓と比べると降雪量はそれほど多くなくまた気温もそこまで激寒というわけではないので、凍結深度は60㎝程度と言われています。それが隣の冨士見や海の口などの標高の高い別荘地では80㎝~100㎝などと言われています。さすがに深いですね。

さて、その凍結深度をクリアするためには通常より深く掘削してから基礎工事を行う必要があるのですが、そうすると掘り返した土の量も必然的に多くなり、そのやり場に困ることになります。また工費も余計にかかりますね。そのため寒冷地では掘削面積が小さくて済む布基礎が多く採用されるといわれています。

ではなぜ僕らの別荘はべた基礎なのでしょう?僕らの土地は傾斜地にあるため地盤を水平にするために盛土を行いました。以下の過去記事が参考になります。
そして盛土をした後、造成工事の段階で設計GLよりも低い標高で地均しをしました。そうすることで基礎の掘削を浅くすることができるので、建物を床面全体で支えるべた基礎を採用してもそれほど多くの土を掘る必要がなくなったのです。

基礎工事の様子

上の写真が実際の基礎工事の様子です。木枠の下に見えているコンクリートが捨てコンで、これが5㎝厚あり、さらにその下に15㎝厚の砕石が敷かれています。そしてこの捨てコンから90㎝の高さまで外周部の基礎コンクリートが立ち上がることになるのですが、基礎が完成したら造成時に他所に避けていた土を持ってきて捨てコンから50㎝の高さ(設計GL)まで地盤を上げます。これにより最終的に基礎最下部が70㎝地盤より下に来ることになるので60㎝の凍結深度をクリアするということになるんですね。省エネ工法です。

ウッドデッキの土台。手前の空間は造作ベンチシートのスペース

次回は出来上がった基礎を見ていきます。